最近では、ITエンジニアが会社を辞め、
フリーランスエンジニアとして生計を立てている人が増えていると思います。
会社員時代と同じ仕事をしていても、
フリーになるだけで収入アップにつながる可能性がありますし、
それを後押しするサービスも増えてきたため、
ここ1・2年は、特にフリーランスエンジニアが増えていると思います。
しかし、そんなフリーランスエンジニアのスタイルに影響を及ぼしかねない税制改正が、
今後行われる予定です。それが、インボイス制度の導入です。
インボイス制度とは
- 正式名称:適格請求書等保存方式
- 導入時期:令和5年(2023年)10月1日
売上に対して消費税を受け取る場合も、支払った消費税を税額控除する場合も、
適格請求書発行事業者の登録が必要となる制度です。
※適格請求書発行事業者の登録は、免税事業者は出来ません。
〇参考:国税庁 コラム≪適格請求書等保存方式の導入について≫
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_5.htm
個人事業主・フリーランス(免税事業者)への影響
影響を一言で簡単に言ってしまうと、
今後は、個人事業主・フリーランスは、免税事業者を続けることが困難になります。
理由は、以下が挙げられます。
-
- 消費税分の割増し利益を取得できなくなる
- 免税事業者を継続すると仕事が減る可能性がある
1. 消費税分の割増し利益を取得できなくなる
まず、1が起きる理由は、
適格事業者でなければ売上が発生しても、消費税を受取ることが出来なくなるからです。
消費税を支払う場合、請求側から送られた適格請求書を元に支払いを行う必要があります。
しかし、免税事業者は、適格請求書を作成できないので、支払う側は消費税を支払う事は有りません。
2. 免税事業者を継続すると仕事が減る可能性がある
次に、2が起きる理由は、
支払いをする側からすれば、これまで通り税額控除を行える適格事業者に支払い(仕事を依頼)を行いたいからです。
例えば、ITエンジニアが客先に常駐する場合、PGポジションのエンジニアでも月単価50~100万ほどになると思います。
年間にすると100万×12ヶ月=1,200万円ほどの費用となり、
消費税が10%になった場合、税金だけで年間120万円にもなります。
これだけの費用を控除できないとなると、支払う側からすればかなりの痛手となると思います。
出来る限り、控除を行える適格事業者に仕事を依頼したいと思うのは、自然な流れだと思います。
補足
そして、免税事業者を辞める場合には、1・2以外にも1点発生する影響が有ります。
それは、適格請求書についてです。
インボイス制度導入後は、適格請求書の要件を満たす請求書を作成する必要があり、
適格請求書を保管する必要があります。
請求書のフォーマットを調整したり、保管する手間が増えることになります。
適格請求書の要項については、以下の参考より確認できます。
参考:政府広報オンライン 事業者にはどのような影響が有るの?
免税事業者の対応策
現在の免税事業者が取れる選択肢は、以下のどれかとなります。
-
- 売上を1,000万円以上にして、課税事業者になり、適格請求書発行事業者の登録を行う(免税事業を辞める)
- 売上に拘わらず、課税事業者になり、適格請求書発行事業者の登録を行う(免税事業を辞める)
- 売上を1,000万円未満にして、免税事業を続ける(消費税は受取らず、税額控除も行わない)
実質的に、最適なのは1になると思います。
一番難しいですが、純粋な売上を向上し、素直に消費税を納めることが最良だと思われます。
2や3でも良いのですが、
2の場合、消費税の割増し利益は取得出来なくなり、制度が始まってから純利益が減ります。
3の場合、「個人事業主・フリーランス(免税事業者)への影響」で挙げさせて頂いたマイナスな影響を、
もろに受けることになりますので、場合によっては事業を続けることも難しくなると思います。
増税による景気の冷え込みが発生した場合、
フリーランスエンジニアにとって、インボイス制度への対応は、厳しいものになると思います。
中には、サラリーマンに戻る人も出てくるのではないでしょうか。
しかし、必要な対応を行ったら、本業に本腰を入れて、
制度や状況の変化に、必要以上に捕らわれない思考と行動が必要になってくると思います。
そもそも、ITエンジニアという職業は、
世の中のトレンドに合わせて成長する必要がある厳しい職業だと思いますので、
日々、自身の価値を向上するための努力が必要になると思います。
そういった努力を続けていれば、制度変更や状況変化に対応する道が開けると思いますので、
私も頑張りたいと思います。